放課後は、秘密の時間…
両手で頬を叩きながら机に向かうと、パソコンの上に小さな紙切れがのっていた。


「なんだろ、これ……」


手にとってみると、整った文字が並んでる。


『明日の昼休み学食でね。それから、今日はごめん』


誰が書いたものかなんて、すぐにわかった。


こんなことするの、一人しかいないもの……


今日彼にされたひどいことを思えば、こんなの、気にしないのが普通なんだと思う。

ゴミ箱はすぐ近くにあるし、あとは丸めて捨てるだけ。


なのに……

あたしには、それがどうしてもできなかった。


小さく書かれた『ごめん』の三文字。

あたしの胸に、そっと染み込んでいく。


「ばか……」


ごめんでなんか、許してあげないんだから。


シャツの下に隠れたキスマークの上にそっと手を当てると、胸がぎゅっと苦しくなる。


あのときは怖かったし、本当にいやだって思ったの。

あんなこと無理やりしようとした市川君のこと、絶対許せないって思った。


なのに、どうして……

どうして今、こんなに苦しいの?


胸が痛いのは、何で?

もう、わかんない……

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