放課後は、秘密の時間…
朝からドキドキしたり、ほっとしたり。

ここ最近、市川君のせいで、心臓に悪いことばっかり。


優等生の顔して、全然優等生なんかじゃない。

あたしの前でだけ、まるで二重人格みたいにがらりと態度を変える彼。


さっきだって、学食がどうのこうのって……


「あぁっ!!」


思い出して、思わず大きな声が出た。

職員室にいた先生方が、不思議そうな顔であたしを見つめてる。


「す、すみません。何でもないですから」


突然、奇声なんか発したりして……

これじゃ、教育実習生じゃなくて、ただの挙動不審者だよぉ。


もう全部市川君のせいなんだから!!


『じゃあセンセ。昼休み、学食でね』


意地悪く笑った市川君を思い出して、あたしはがっくりと肩を落とした。

武藤君の前でああ言った以上、あたしはお昼休み、学食でご飯を食べなきゃいけない。


そういえば、昨日のメモにも書いてあったような気もする。

「ごめん」の文字にばっかり気をとられてて、全然気がつきもしなかったけど……


そっかぁ……

あれって、こういうことだったんだ。


……って、何納得してんの!


まんまと市川君にはめられたあたしは、お昼のことを考えて、今日何度目かのため息をついたのだった。

< 87 / 344 >

この作品をシェア

pagetop