放課後は、秘密の時間…
「――あかりちゃーんっ!こっちこっちっ!」


一際大きな声が、食堂に響いた。

あたしの姿をいち早く見つけた武藤君が、大きく手を振ってる。


「拓真、あかりちゃん来たよ~」

「あ、先生。遅かったですね」


にっこりと笑う市川君は、なんだか楽しそうだ。


「……前の時間、授業があったから、その片付けしてたの」

「そうですか」

「オレ、食券買ってくるわ。拓真さぁ、席とっといて」

「え?ちょっと待っ……」


お願いだから待ってっ!

市川君と二人きりにしないで!


そんな願いもむなしく、武藤君は食券売り場へと消えていった。

賑やかな食堂で、まるでここだけが切り離されてるみたいに、しんとしてる。


……気まずいよぉ……


「そこ座って」


突っ立ったままのあたしに、市川君が一言。

戸惑いながらも席につこうとしたあたしは、思わず動きを止めてしまった。


「何してんの、早く座れば?」


でも。

だって、この席って……


「俺の前じゃ不満?」

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