放課後は、秘密の時間…
そう思ったのが顔に出てたのか、市川君はくすくす笑った。


「この前、先生が男といるとこ見てさ、思ったんだよ」


男といるとこ?

それって、大也と味イチにいた日曜のことよね?


「俺も先生と一緒にメシ食いたいって」

「はぁ……」

「先生さ、俺の前じゃいつも怒ってるか泣いてるかのどっちかだろ?普通に笑ったとこなんか見たことないし」

「それは……市川君が、そういうことばっかりするからじゃない」

「まぁそうなんだけど。とにかく、俺もあいつみたいに、先生の色んな顔見たいって思ったわけ」

「それで、学食?」

「そう、学食」


なんか、よくわかんないや……

とりあえず、あたしとご飯を食べたい、ってこと?


首をかしげたあたしに、市川君は笑顔のまま続けた。


「俺さ、実は結構負けず嫌いなんだ」

「そうなんだ?」

「ほしいって思ったら、どんな手使ってでも手に入れたくなる性分つーか」

「ふぅん?」

「だから、絶対あいつから先生奪い取ってみせる」


――――!!


思わず、ガタンッと音を立てて立ち上がった。


やばい。

心臓が……ドキドキしてる。

< 90 / 344 >

この作品をシェア

pagetop