last.virgin
◆第2話◆
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午前中は彼女の事で頭が占領されてしまって、全く仕事に手がつかなかった。



給湯室から走り去ってしまった彼女のデスクばかりに目が行ってしまう。



一度彼女がこちらを振り向き、しかめ顔で俺を見て、ブンッと音がしそうな位に、激しく顔を反らされてしまった。



……俺…
初めての彼女相手に…
そんなに酷い事したのかな?



うろ覚えだけど、泣いていた彼女…



ポケットに手を忍ばせると、彼女の眼鏡と封筒。



こんな物受け取る訳にはいかない、それにきちんと詫びを入れないと。



本来俺は英明と違って火遊びはしない、必ず相手の了承を得てから事に及ぶ。



特定の相手は必要ない、ただ身体の欲求を吐き出したしたいだけ。



でも、酔った勢いで彼女の大事な物を奪ってしまったらしい…



「……はぁ…」



小さくひとつため息をついて、再び彼女のデスクに視線を向ける。



もし……。



責任とって付き合ってくれなんて言われたら……



あんな子供みたいな遙を彼女にするのか?



………いやいやいや。



あり得ないだろ?
あんな調子が狂う娘彼女にするなんて…
考えただけで疲れそうだ…



『あの娘、俺が先に貰うから』



英明の言葉が頭を過る。



……………。



…先にって、英ちゃん…
もう俺が先に頂いちゃったから。



それ知ったら、もう彼女には興味ないだろ?




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