last.virgin
シャワーを終えて歯磨きしていると、微かに聞こえてくる携帯の着信音。
うがいを済ませて口をタオルで拭いながら、寝室のテーブルに置いてある携帯の画面を見れば英明からの着信。
手に持ち電話に出ると。
『こら!修二!もう始業時刻過ぎてんぞ!』
ガツンと頭に響く英明の声に顔をしかめる。
「……英ちゃん…うるさい…頭に響く…」
ベッドに腰掛け頭を片手で押さえて項垂れる。
『はあ?二日酔いか?』
「……うん」
『お前昨日ピッチ早かったもんな…』
「…あのさ?…昨日俺…誰かと一緒に帰ったりした?」
『は?…お前昨日いつの間にか居なくなったじゃん?俺も途中で里奈ちゃんとフケたし…知らねぇよ、覚えてないのか?』
「……実はさ?…」
起きてからの出来事を簡単に説明すると。
『……お前…鬼畜…サイテー』
「言うなよ…」
『セックスなんて遊びなんだから、最低限のルールは守れよな?』
「………う」
何も言えない…
テーブルのピアスを摘まんで見つめる。
『はぁ…とにかく早く出て来いよ?午後からクライントとの打ち合わせもあるし…お前が来ないと仕事進まねぇよ』
「うん。わかった、直ぐに支度する」
『ああ、じゃあな』
ピアスを再びテーブルに置き、着替えを済ませてから鞄の中身を確認。
必要な書類を確認しつつ部屋を出ようとして、ふと立ち止まり、何故かそこにポツンと置いておくのが気になって、ピアスをジャケットのポケットにしまう。
玄関の鍵を閉めて七階のエレベーターから地下へと降りて、駐車場へ急いだ。