last.virgin




三時からの15分休憩。



英明に喫煙室へと連れて来られてしまった俺。



壁は黄ばみ、ヤニの匂いが染み付いたこの喫煙室は、無煙家の俺にとっては苦痛でしかなく、早くこの部屋から離れたくて、遙とのこれまでの経緯を英明に簡単に説明した。



一通り聞き終わると英明は煙を吐き出しながら。



「ふぅ〜ん…なるほどね…」


「うん、だから…」


「わかってるって、お前のお手付きにもう興味なんか無いよ、ははは、しかし面白い娘だな?」


「うん…かなり…」


「あはは、あの修二が、あんな眼鏡のロリ娘に…ぷ…くくくっ」



そんなに可笑しいか?



出来るなら、俺だって笑ってしまいたい。



でも、笑ってしまえる程の余裕は俺には無い、既に一線は越えてしまっている、しかも忘れてくれと言われた俺はどうすればいいんだ?



始めはしつこく付きまとわれたら面倒だとか思っていたのに、逆に俺の方が落とされてしまった。



ほんの数時間前までは、彼女の存在すら知らなかったって言うのに……



どうすれば彼女に気持ちを伝える事が出来るだろうか?



情けない……。



そんな事もわからないなんて、俺は今までどんな風に恋愛してきた?



いや、そもそも恋愛なんてした事があったか?



ただ可愛い娘と、楽しく飲んで遊んで、お互い気が合えば身体を重ねて…



……………はは…



そんなの恋愛なんて呼べる品物じゃないじゃん…



女なんて面倒臭いと思ってた癖に…



そんな俺が、あんな俺のキャパを遥かに越えた、企画外のチビでダサい小娘を不覚にも……



可愛いと思ってしまうなんて……



「くくくっ…ま、頑張れよ?一回ヤッてるんだし、お前が普通に付き合ってくれって言えば大丈夫さ」


「……そうかな?」


「あら?…お前…もしかして、かなり本気みたいだな?…よし!俺に任せろ!協力してやるから!あはは」



そう言って俺の肩をバンバンと叩く英明は、明らかに面白がっているみたいだった。






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