last.virgin
* * *




「村山さーん、宅配便でーす」


「は〜い」



アパートのチャイムが鳴り、ばあちゃんからの宅配便が届いた。



私は判子を片手にドアを開け、それを受けとると早速梱包を解いた。



ばあちゃん、何送ってくれたんやろ?



期待を膨らませて箱の中を覗き込むと、その中にはお米や缶詰やインスタントラーメンや大量のお菓子。



とにかくほぼ食べ物でびっしりと埋め尽くされていた。



袋に入ったお米を胸に抱き、遠く離れているばあちゃんの笑顔を思い浮かべて天を仰ぐ。



………ばあちゃん。
ありがとう……。
助かる……。


明後日の初めての給料で、ばあちゃんに何かプレゼントを買ってあげよう。



就職して家を出ると両親とお兄ちゃんに話したら大反対されて、ばあちゃんだけが私の味方だった。



私がばあちゃんに家を出て、一人暮らしをしたいと相談した時も。



『遙の好いとるようにすればよかと…でも、疲れたら、いつでも帰って来んしゃい…』



そう言ってくれて、ばあちゃんは両親とお兄ちゃんを説得してくれ、なんとか私は一人で家を出る事が出来た。



とにかくうちの家族は私を子供扱いして(特にお兄ちゃん)絶対に許さんの一点張りだった。



ばあちゃんが居なかったら私は、家族からあらゆる手段を使われて、家を出るなんて事は阻止されてしまっていた事だろう。



ホントは和久井君みたいに大学から家を出たかったんだけど、未成年の内は絶対に駄目だとお兄ちゃんにごり押しされてしまって、それは叶わなかった。



今日は久しぶりに、こっちには売ってない、地元のインスタントラーメンを作って食べよう。



和久井君とラーメンの話をしたから、実は物凄くラーメンが食べたくて仕方なかった。



箱の中からゴソゴソとラーメンを取り出していると、テーブルに置いていた携帯が鳴り、見ると今日新たにアドレスに追加された和久井君からの着信。





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