last.virgin
………………。
…やっぱりそこまで気にしてるのか、坂口さんは……。
ホントに誠実な人なんだな…
普通なら忘れて下さいって言ったら、もうそれ以上はほっとくもんなんじゃ無いのかな?
恋愛経験が殆ど無い私にはそんな事すらわからないけど、ここまで言われたら、私だってホントの事を話すべきなんじゃないだろうか?
私は意を決して………。
「私…大人になりたかったんです」
「……は?…大人?…」
「はい、私、恥ずかしい話…二十歳になっても今だに…その…経験が無くて…」
「……うん」
「正直…それが重くて…」
「……重い?」
私は自分の思っている事や昨日の成り行きを、包み隠さず坂口さんに話した。
坂口さんは黙って聞いていて、私が話終わると。
「……俺と、その…してしまった事に対しては、どう思ってる?…」
…どう思ってる?
…どうやろ?
…強いて言えば……。
「…感謝…してます…」
「……感謝?」
「こんなに重たい物貰って下さって、感謝してます…だから、坂口さんは全然悪くなんか無いんです。ホントにありがとうございました」
私は坂口さんにぺこりと頭を下げた。
「………それだけ?」
「はい?」
「俺にヤられて…感謝してるだけ?」
「……そう…なりますかね?」
「…は……なんだよ、それ…」
坂口さんは何故か怒っている様子。
私、なんか怒らせるような事、言ったのかな?
「あの…坂口さん?」
坂口さんの顔を見上げると、坂口さんは私の肩をグイッと掴んで、その胸に引き寄せて。
「俺の気持ちは…どうすればいいんだ?」
そう言って私をギュッと抱きしめてしまった。