last.virgin
その瞬間。
−−ウォン!!
突然大きなエンジン音と共に、バイクが歩道に乗り上げてきて、私達目掛けて突進して来た。
「っ!危ないっ!!」
坂口さんは咄嗟に私の身体を離し、郵便ポストの後ろの方に押しやった。
でも坂口さん身体は歩道に残ったままで、バイクの主は坂口さんの身体を走りながら足で蹴り倒し、坂口さんはその場に倒れ込んでしまった。
「坂口さんっ!」
私は一瞬何が起こったのかわからず、慌てて坂口さんに駆け寄った。
「坂口さんっ!大丈夫ですかっ?!」
「…だ…大丈…うっ!!…」
肩を押さえ、苦痛に顔を歪める坂口さん。
−−ウォンウォン!!
再びバイクは道路からUターンしてきて歩道に乗り出し、再び此方へ向かって走ってきた。
「ヤバいっ!遙っ!逃げろっ!」
坂口さんがそう叫んで、私はあのバイクが私達を襲って来ているんだと言う事がわかった。
暴漢?
引ったくり?
何でこんな事するんやっ?
私は一気にカッと頭に血が上った。
肩からリュックを外してそれを片手に持ち、バイクに向かって走り出した。
「遙っ!何してるっ?!逃げろっ!!」
坂口さんの声を背中に聞きながら、私はリュックを両手に持って、こちらに向かって走って来るバイクの運転手の頭目掛けて、リュックを思い切り投げつけた。
リュックは運転手のヘルメットに見事に当り、バランスを崩し、スピードが落ちたバイクは少し傾いて、私はすかさずその横に走り込むと、バイクの給油タンクを思い切り蹴り倒した。
大きな音がして、バイクは運転手諸とも横に倒れ込み、私はそのまま運転手が倒れた方に回り込み、そいつの喉元を力一杯蹴り上げた。