last.virgin



「あは♪アラサーって、男はこれからじゃないですか?あたしなんてもう23ですよ…子供産んじゃってる同級生も居ますよ…」



後半声のトーンが落ちていく里奈の肩に手を置き、その耳元で小さく呟く。



「早く英ちゃんとくっつけば?」


「…そうしいんですけどね…向こうは完璧に遊びだと思ってますから…」


「それはお互い様だろ?」



実は一度里奈と寝たことがある。



「あはは、そうですね?まだ遊び足りないですもん、出産して所帯太りするのはまだ早いかな?」


「そうそう、女の子だってこれからだよ…それとさ?里奈ちゃん…」



里奈の隣の空いてるデスクに腰掛ける。



「なんですか?」


「昨日の事なんだけどさ?俺、誰かと一緒に帰ったりしなかった?飲み過ぎて覚えてないんだよ…」


「?…昨日ですか?覚えてないなぁ…」


「経理部以外の娘って居たっけ?」


「坂口さんと田村さんが来るって聞き付けた他の営業部とか、総務部の娘達も居ましたけど…」



営業と総務かぁ…
あんまり馴染みが無いな…



背を伸ばし営業部と総務部のデスクを見るが、それらしき人物が思い浮かばない。



「あの…すみません…そこ…」



背中から遠慮がちな声が聞こえて振り返ると、今時そんなん有りか?と言う位の黒ぶち眼鏡を掛けた小柄な女の子が立っていて。



「あっ、ごめん。君のデスク?」


「……はい」


「あっ、遙ちゃん、コーヒーありがと」



遙ちゃんと呼ばれた彼女は、両手に持っていたコーヒーのひとつを里奈に渡した。



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