last.virgin
「あ。起こしちゃいました?」
「……ん?……」
「まだ早いですから、もう少し寝てても大丈夫ですよ?」
寝ぼけ眼の坂口さんは、まだ完全に眠りから覚めていないみたいで、まだ開ききっていない瞳で私の顔をぼんやりと見つめていた。
「……あ…、そうか…、昨夜…」
徐々に焦点が合ってきたみたいで、坂口さんの綺麗な瞳は次第にその輝きを取り戻していく。
「……おはよう。遙」
「おはようございます。まだ早いですけど、どうします?起きられますか?」
「今…、何時?」
「まだ6時です。もう少し休んでましょうか?」
「いや……起きるよ……、いっ!!」
「だっ、大丈夫ですかっ?!」
身体を起こしかけた坂口さんは
、怪我をしているのを忘れていたのか、左肘を着いて起き上がろうとするもんだから、もろに体重が肩にかかったみたいで、その綺麗な顔が苦痛に歪む。
私は坂口さんの身体を支えてあげながら、ゆっくりと起き上がらせる。
「ありがと、遙……ははは…、情けな…」
「情けなくなんか無いです。怪我してるんだから、当然です。その為に私が居るんですから」
「ははは。そうだっな、ごめん、着替えるよ」
坂口さんはベッドから出ると、クローゼットの中へ。
「スーツはやめた方がいいよな…」
なんて独り言が聞こえてきて、クローゼットから出てきた坂口さんが手にしてきた洋服は、水色のVネックのニットセーターとブラックデニムの細身のジーンズ。