雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
どうやら春陽は今日も帰らないらしい。
「いい加減帰れよ…」
「帰ったら親父に怒られるからヤダ」
「わがまま野郎め…」
春陽のお父さんは怖いらしいと、太一から聞いてる。
プライベートに干渉しないってわけでないけど、なぜかみんな春陽の家のことだけには誰も何も言わない。
うーん、謎だね。
「じゃ、また明日」
「さっちゃんじゃーなー!」
ラブホの裏口から出て、繁華街を通る。
太一は組の人が迎えに来るし、和巳はまた女のところ。
あたしは一人で駅に向かう。
すると、路地裏から聞こえてくる声。
「……………」
この街の夜は、静かにならない。