雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
手っ取り早いんだ、そっちが。
自分が狂乱だとバレなければ相手から狙われることもなく、穏便に過ごせる。
だからこそ全てが秘密裏で、狂乱の強さの源でもあった。
「龍野、お前は考えたことあるか? 街でお前の名前が騒がれる、エンペラーの連中が騒ぐ、自分はエンペラーだと名乗る。たったそれだけのことで、どれだけ狙われやすくなるのかを」
「……………」
「むしろ自分達から狙ってくださいって言ってるようなものだということを」
「……………」
「今、お前の目の前にいるこの俺が、当時は騒がれ続けた狂乱の総長であることを、初めて知っただろ。だって俺は今初めて、狂乱の総長であったと、名乗ったのだから」
たしかに、そうだ…。