雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
雪兄本人が動けば、自然と狂乱が動く。
それも、全国各地の狂乱が。
「サチ、」
「雪兄、もう帰るの?」
「ああ。家で寿々に忠告しておかないと」
「大変だね」
「まあな、」
「ん?」
「大丈夫だから」
「え、なにが?」
「すぐにわかる」
「ちょっ、」
どういうこと?
すぐにわかるって何が?
「さっちゃん、撤退するぞ!」
「あっ、待ってよ!」
あたしは春陽達の元へ駆け出す。
そのほんのわずかな時間、凪さんとすれ違った。
今、ここでは、敵同士。
変な感情を持ってはいけない。
でもね、でもね、凪さん、信じろって言ったよね。
あたし、まだ信じてるからね。