雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
あっち、とは。
バーテンダーが言いたいのは狂乱の方だろう。
彼らには縦社会というものが存在しない実力主義社会なのだ。
実力さえあれば年齢がどうあろうと、トップに立つことができる。
そしてもし、彼らが今のエンペラーのような葛藤を抱えていたとしても、先代であるあの男は、自分のように放ってはいないだろう。
過保護とかではなく、ただ普通に手を差し伸べてあげる。
あの男が慕われる所以でもある。
「ほら、お前の好きなカクテル」
「ありがとう、」
「今、神楽組荒れてるって聞いた」
「まあ、少し…」
「少しじゃないだろ。俺の耳にも入ってくるくらいだ」
「…あと少しで片付ける」
凪はひ弱そうな声を出す。