雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
「これ、いつもお嬢ちゃんが頼んでるやつだけど、口に合うかな?」
「寿々に合うんだから、きっと美味しいはずですね」
「お嬢ちゃん、舌にこえてるのかい?」
「どうでしょう。俺と違って昔から良い物食べてますからね」
雪矢はそういながら、一口。
とても満足気である。
「ああ、そうそう。神楽 凪さん、もう決めました?」
さっきまでと同じ口調なのに、何処と無く棘のあるような言い方。
今日、この場に二人が居合わせたのは偶然ではない。
それを察してだったのか、バーテンダーはこの店に今日は客を入らせていないのだ。
「……決めた、さ」
「そうですか…。ではここにサインを」