雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
あたしはなぜか今晩も、寿々さんに振り回されている。
そしてもう普通に立ち寄ることになってしまったバーにも。
「こんばんはーー!」
「寿々さん、もう少し静かに入りましょうよ…」
お店の中には誰もいなくて、でもカウンター席のところにグラスが二つ置いてあった。
「おや、っと、誰にもすれ違わなかったのかい?」
「誰にも?」
「……まあ、いいんだが」
寿々さんの急な来店はいつものことだから、驚かれることも少なくなってたけど、今日のバーテンダーさんの反応が不自然。
「あ、これあたしが好きなやつ!」
「それ飲みかけだから、新しいの作るよ」
「ありがとうございます!」
おかしい…。