雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
「祖父さん、」
そこは日本任侠組合『龍神会』神楽組の本邸。
神楽 凪が20年と少し育った場所。
組長である祖父は、両親を亡くした孫二人を優しく、時に厳しく育ててきた。
持てる愛情を注いできた孫だが、その内の一人が、組の掟を破ったとの噂が広まっている。
その張本人であり、若頭を務める凪。
「祖父さん…」
「おめぇが決めたことに俺は口出しはしねえ。だが、もうこれから口を聞くこともねえ」
「…………」
「それがおめぇが決めた道だ」
組長として、若頭を失うのは相当の痛手であり、跡取りを失うことでもある。
それは彼の命ですら狩ることも、容易い。
しかし、祖父として、孫の幸せを願ってもいる。