雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
「いままで、ありがとうございました」
凪は一礼して、その場を去る。
凪とて、この家を去ることに罪悪感がないわけではない。
互いに、互いの想いを分かってるからこそ、最後は呆気ない。
「親父さん、よかったんすか」
「何がだ」
「凪坊のことっす」
凪がその場を去った後、組長に話しかけたのは彼の側近。
「若頭がいなくなって、騒ぎになりやすよ」
「わかっておるわい。しかし凪に及ばずとも優秀な奴はおるであろう?」
「親父さん、凪坊はこれからいろんな奴らに狙われますよ」
家を出たとはいえ、元は若頭でかつ、神楽家の正統な血筋を持つからには狙われて生活しなければならないのは変わらないし、危険性はむしろ増す。