雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
そんなこと当の本人ですら分かっているはずで、孫を溺愛していた組長が心配しないはずがない、そう思っていた。
ーーのに。
「あやつの後ろにはわしらよりもデカイのがこれから付く。わしらが心配する余地もなかろう」
「…………」
それは、敵対する組のことを言っているのか。
その場にいた誰もが思った。
「おめぇは知ってるか。来栖組の男のことを」
「来栖組の男?いえ、存じません」
「あの組には恐ろしい男がいてな。ガキ(暴走族)の世界では伝説を残しておるが、この世界ではまだ新人。だが、その立ち振る舞い、オーラ、全てを兼ね備えてるっていう恐ろしい男がいる。まだ世に名は出ておらんが、いずれ若頭として来栖組を引っ張るらしいがの」