雪花狂乱〜不良少女は秘密をもつ〜
「そうなんだ、ありがとう」
「いえ、」
そういって男の目線はバイクに戻った。
「……………」
考えちゃダメ。
彼にとっては唯一無二の妹なんだもん。
とは思っていても、やっぱり神楽愛理に嫉妬してしまう。
あたしってこんなに小さい女だっけ…。
そう思いながら、外の風を浴びていると、黒いベンツがやってきた。
あの車…。
凪さんのだ…。
あたしはとっさに隠れた。
隠れる理由なんてないのに、あたしがここにいるってばれちゃダメな気がした。
凪さんの車が倉庫に入っていくのを見届け、あたしは倉庫の裏に向かう。
ただ単純に、一人になりたかった。
ただ、それだけなのに。