cloud×cloud【完】
思わず「ありがとう」の言葉がでてしまいそうだった。
総司が私を追ってきてくれたことに涙が出そうだった。
これは新撰組への私の最後の抵抗。
参謀と言う役職が出来てから
誰も『総長』の私の話に耳を傾けてくれなくなった。
最近で言えば西本願寺の件だ。
それに新撰組はどんどん佐幕派へとなりつつある。
それが嫌になったのも理由の一つかもしれない。
そんなことを考えているとふと左の頬が一瞬冷たくなった。
「雪…ですか。」
私が手のひらを開けると雪は美しくそこに舞い降りてきた。
手のひらに降り立った途端に雪は私の体温に触れ、
跡形もなく溶けていった。
「山南さん…帰りましょう?」
総司が言ったことに私は頷いた。