cloud×cloud【完】
私は声すらもかけないつもりだった。
たった一言でも言葉を交えてしまっても
この覚悟が揺らぎかねないからだ。
だけど…
「私を…1人にしないでよっ…っ」
愛する人がしゃくりあげながら泣いているのに、
私に触れようと格子の間から精一杯に手を伸ばしているのに、
何もせずにただ目に焼き付ける
なんてことはできなかった。
「明里。」
短く彼女の名を呼ぶと、泣き声がピタリと止んだ。