cloud×cloud【完】
風が吹く
「うひょー!!薩摩じゃあ!!初めての薩摩じゃあ!!」
初めての薩摩入国、隣の男は無駄にはしゃいでいた。
「まあまあ、そげん興奮することもなかろう。」
「やっぱり薩摩はすごいのう。思てた通りじゃ!!」
この台詞が何を意味するのか、少し心に引っかかるが
自国を褒められては悪い気はしない。
「それより、わざわざ薩摩まで出向いてまで聞いてほしい話とは?」
「西郷はんはせっかちやのぅ。そない焦らんでも。」
男は口を尖らせて拗ねた真似をした。
「聞く価値は当然あるのだろうな?」
そう言うと男はにんまりと笑いを浮かべた
「わしに、ちーっといい考えがあるんじゃ。」
この男の考えることには底がない。
退屈は、しない。
何か楽しませてくれることを期待し自分も薄く笑みを浮かべた。
「それは楽しみですなぁ、坂本どん?」