cloud×cloud【完】
そこには血に染まった右腕があった。
そう言えば、避けた時にかすっちゃったんだっけ。
右腕は思い出したかのようにじんじんと痛み出した。
それほど傷は深くないものの、この微妙なかすり具合が妙に痛い。
「それ…やられたのか?」
「やられたって言うか…まぁ、はい。」
私がそう答えると、間も入れずに「誰に?」と聞いてきた。
…うーん。
誰に?って言われても…。
名も知らない人なのだから答えようがない。
「わからないです。」
私はそう答えるしかなかった。