cloud×cloud【完】
「あ。斉藤さん、その手…」
斉藤さんの手はひどくかじかんでいた。
何だと言うように斉藤さんも自分の手に目をやった。
「あぁ、先ほど洗濯をしたところだ」
最近は寒くなってきたからな、と言って両手をこすりあわせた。
私がこんなんじゃなかったら…
そっとその手に触れる。
その手はとても冷たくて、自分の手がどれだけ温かいかを思い知らさせる。
「何も悪く思う必要はない」
斉藤さんは短くそう言った。