cloud×cloud【完】
負けじと沖田さんも伊東さんを見据える。
いつも陽気な彼の面影はない。
全く別の誰かのようだ。
「何をしているんですか?早く出て行ってください」
この雰囲気に堪えられなくなった伊東さんは怒りを抑えながらに言った。
「…出て行きません。」
その答えに私はなぜだか少しほっとした。
伊東さんとまた二人きりだなんて気まずすぎる。
それに怖かった。
もう一度あの錯覚に陥ってしまいそうで…
『好き』『愛してる』、と言われるたびに
私を必要としてくれている、という感情に満たされてしまうから…
自分の意志までも惑わせてしまうほどに…