cloud×cloud【完】
伊東さんは諦めたのかバッと立ち上がり、早足で部屋を出て行った。
伊東さんが出て行ってくれたのはいいのだけれど…
部屋では沖田さんと二人きり。
これはこれで気まずい気がする。
「あの…えっと……何かの用ですか?」
私はとにかく何かを話したかった。
沈黙なんてますます気まずい雰囲気になってしまうだけだもの。
「別に、何かあったわけじゃないけど」
そう言った後に「なんとなく」と小さく呟いたのが聞こえた。
なぜか笑みがこぼれる
「何がおかしいの?」
「いえ、何も…」
私がそう言うと沖田さんは少しふてくされたような顔をする。
子どものようなその仕草。
すべてが何故だか愛しく思えた…