cloud×cloud【完】
怖くなった。
あいつと出会って、怖くなった
死んでしまうことが、
大切な人を失うと言うことが、
怖いと思うようになってしまった。
そんなことなど恐れてはいけないのに。
「藤堂くん?どうかしましたか」
俺を心配してか、伊東さんはそっと俺の顔を覗き込んだ。
「いえ、何も。」
俺は心配させまいとそう言って、はにかんだ。
「藤堂くん、」
その呼びかけが俺の焦燥感を軽く駆り立てる。
早くこの答えを口にしなくては、と。
そうでないと、揺らいでしまう。
俺の意志と俺の想いが俺の中でぶつかり合う。
「本当にこちらに来てくださるのですね」