cloud×cloud【完】



「みんなのことが嫌になったとか、そうゆうのじゃないから」





「…うん」


わかってる。

その気持ちは平助の泣きそうな顔からすべて伝わってきた。




「幕府のお偉いさんの護衛や、長州の志士や武士を追い払ったり…それって、ほんと光栄なことだと思う。
だけど、俺は何か違うって思ったんだ」





平助の瞳が揺るがずにじっと私を捉えて放してくれない。


それだけで平助がどれほど真剣に話をしているのかがわかる。



「その時に気づいたんだ。俺は幕府のためとかじゃなくて、京都の…ただ目の前ある幸せを守りたいってことに」




隣に座る平助と私の間に少し冷たい風が吹いた。










< 415 / 478 >

この作品をシェア

pagetop