cloud×cloud【完】
「みんなのことが嫌になったとか、そうゆうのじゃないから」
「…うん」
わかってる。
その気持ちは平助の泣きそうな顔からすべて伝わってきた。
「幕府のお偉いさんの護衛や、長州の志士や武士を追い払ったり…それって、ほんと光栄なことだと思う。
だけど、俺は何か違うって思ったんだ」
平助の瞳が揺るがずにじっと私を捉えて放してくれない。
それだけで平助がどれほど真剣に話をしているのかがわかる。
「その時に気づいたんだ。俺は幕府のためとかじゃなくて、京都の…ただ目の前ある幸せを守りたいってことに」
隣に座る平助と私の間に少し冷たい風が吹いた。