cloud×cloud【完】
前に進んで、
「先生ー、沖田です。入りますよ」
僕は玄関戸の前で一声かけてからその戸を静かに開いた。
いつものように廊下を真っ直ぐに行って、突き当たりのすぐ右の部屋。
やだな。
そう思いつつもなんの躊躇もなくその部屋へと足を踏み入れる。
「今日はいつもより早いね」
その部屋の真ん中に女の子が一人いた。
「今日は夜に少し用事があるからね」
その子は「そうなの」と言って手元にある薬箱をいじる。
この子の名前は椿(つばき)。
僕より少し歳が下なだけだけれど、顔立ちはかなり幼い。
だけど目がクリッとしていて可愛いらしいと思う。
まぁ、僕はこの子に会いに来たと言うわけではないけど。