cloud×cloud【完】
「手伝ってやろうか?」
大きな手のひらを私の頭に乗せて左之さんは言った。
私は「はい」といいかけてやめた。
気持ちはすごくありがたいのだが、こんな寒い中手伝わせるわけにはいかない。
「大丈夫です」
私がそう言ったのと同時に、
ジャプンと水が揺れる音がした。
桶の中に入り込んだ私よりも大きな手。
「さ、左之さん!?」
そして左之さんは私が洗っている布を反対から持ちひっぱった。
「二人でのが早く終わるだろ」
「でも、寒いのに…」
「俺、寒いの好きだし」
にかっと笑うその笑顔に私は何も言えずにただ俯いた。
左之さんって、すごい。
だってこんなにも簡単に胸を高鳴らせてしまうんだから。