cloud×cloud【完】
油小路
――俺は何故ここにいるのだろう?
「いやぁ、伊東さんの話はいつもためになります」
がはは、と豪快に笑う近藤さんを横目に見て視線を伊東さんへと戻す。
「新撰組もこちらに加わりますか?なんて…土方くん?すごい顔をしていますね?」
「え?あ、そうですか?昨夜は徹夜だったもので」
伊東さんの振る舞いがあまりにも腹正しくて顔に無意識に出してしまっていたようだ。
伊東さんや近藤さんらの話にもついて行けず、やはり、何故此処に自分が居るのかと問う。
「さすが副長さんですね。お疲れ様です」
そう言ってへらり、と笑うこの笑顔がまた俺のかんに障る。
そんなことを思いながらも、伊東さんを見て愛想笑いを返す。
伊東さんの頬は薄らと赤い。
どうやら予定通りに酔ってきてくれているようだ。
「ほら、伊東さんどうぞ。話の続きをしてください」
俺はそう言ってお酒の瓶を持ち伊東さんのお猪口へと注ぐ。
――ああ、そうだ
俺は副長の役目を果たすために此処にいるんだ