cloud×cloud【完】
「…ただですむと思わないでくださいね」
静かに刀と鞘のかすれる音が私の全身を駆け抜けていった。
伊東さんはこちらへとふらりと振り返り、深く深く、笑った。
一体何がおかしいのか、そんなの想像もつかないしつきたくもない。
クックッと喉を鳴らすのが不快で仕方がないのだが、今はそんなものにはかまってはいられない。
私に今、必要なのは覚悟。
伊東さんに向けた刀にこれでもかと言うほどの力をこめる。
こめた力に比例するように覚悟も強くなってくれればいいのに、とバカな考えが頭をよぎる。