cloud×cloud【完】
私は日本刀を再びゆっくりと構える。
ああ、刀ってこんなにも重かったのかと今さらになって思い知る。
重くて重くて。
それは命と比例しているからなのか、はたまた私の気持ちの問題なのかはわからなかった。
伊東さんはフラリ、と立っているのがやっとのことが見て伺えた。
血を流しながらもくすくすと笑う彼。
「…な…にがおかしいんですか」
「ふふ…嬉しいんですよ」
震えが、止まらない。
この人の考えることが掴めなくて、読めなくて酷く恐ろしい。
ああ、早くトドメを刺さなきゃ。
そして再び血に染められた刀を振り下げた時、聞こえた。
「嬉しいのです。愛しい方にに殺されることが」
と。