cloud×cloud【完】
声が、聴こえた
ずっとずっと聴きたくても聴けなかった、懐かしい、愛しい、俺の名前を呼ぶ彼女の声。
「…さ、くら?」
少しの戸惑いと、悲しい感情が混ざり合いながらに湧き出てくる。
何故俺の名を呼ぶのだ、と。
呼ばれたら、お前の方を振り向きたくなるじゃないか。
呼ばれたら、俺は躊躇してしまうじゃないか、人を斬ることに。
呼ばれたら、怖くなってしまうじゃないか、死ぬことが。
――ただもう一度逢いたいと、強く願ってしまうじゃないか