Black Queen【1】
振り返ったそいつの顔を見てやっぱりと確信した。
やっぱりな…。
この声は絶対柚斗だと思った。
そう、私を助けてくれたのは柚斗だった。
やべぇー…。いくら女の格好していてもバレるかも。
「あの…ありがとうございました。」
私は急いで礼をして帰ろうとした…けど体が動かなかった。
腕の方を見ると又掴まれている。
掴んでいるのは当たり前に柚斗だった。
ゆ、柚斗…?
もしかしてお前までナンパかい?
情けなくなって心の中で溜め息をついた。
「あの…」
私が声をかけるとハッとして「あっ、ごめんな」と腕を離してくれた。
なんだ…ナンパじゃなかったのか…。
よかった。お前まであの糞野郎共と一緒だと思ったしと私は安心した。