Black Queen【1】
裏切者
祐司さんと武さんがいなくなってから、全員深刻そうな顔をしていた。
「まさかなぁー…闇龍に裏切りものがいるとはなー…」
奏は、ひどく落ち込んでいた。
「そんなもんなんだよ…。族の世界は…。俺が前にいた族なんて…」
優也は悲しそうな顔をしながら呟いた。
「ちっ、なんつー顔してんだ?てめぇらはよ!?」
雅が突然立ち上がって怒鳴りはじめた。
「まだ、決まったわけじゃねぇだろうが!!だいたい闇龍の仲間が本当に裏切るとでも思ってんのかよ!?」
私は「確かにそうだ…」と言って、ポケットから一本の煙草をとりだした。
「最初から仲間を疑っちゃいけねぇ…。けど、ここまで情報が漏れたら正直疑いたくなる…。私だって信じたくはないが有り得る可能性だってある。でも…違う可能性だってある。」
私は人差し指と中指で持っている煙草を前に突き付けた。
「もしかしたら…案外この中に裏切りものがいるかもしれない。」
全員が私を真剣に見る。
「ま、私はお前らが裏切るなんてこれぽっちも思ってねぇけどな…。」
私はニッと笑った。