Black Queen【1】



でも、やっぱり一膳が打撃を避けれたのは、それが最初で最後だった。



最後の加那の一発で一膳は吹っ飛んで倒れた。



「…はぁはぁ、なんで…」



一膳は悔しそうな顔をしながら、そう言った。



「お?珍しく気失ってねぇじゃねぇか」



俺は吸っていた煙草を足で踏みつけそう言った。



「奏少し黙っとけ。」


「え?」



俺のそんな言葉も無視で加那はスタスタと一膳の前まで行ってしゃがみこんだ。



「……お前今まで喧嘩負けた事なかったんだろ?」



加那の言葉に図星だったのか一膳は黙りだした。


「名前教えろよ」


「山木…一膳…」


「ふっ、一膳か…私は加那。そしてそこにいるのが奏。じゃあな」


そう言って加那はスッと立ち上がって去って行った。



それきり、一膳は加那に喧嘩を売ってくることはなかった。







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