Black Queen【1】
「奏…」
手を包んでくれているのは奏だった。
「…寿二から話は聞いた。」
そういや此処は奏が入院している病院だった。
「鉄二…」
手術室のランプが光っている。
ジッとそこを見た。
「大丈夫」
「え…」
「鉄二さんなら大丈夫」
「奏…」
「大丈夫」
奏はそう言ってギュッと手に力を強めた。
気がついたら私の震えはとまっていた。
それから十分後
「加那!!」
お母さんがやっと病院にきた。
「お母さん…」
「て、鉄二は!?」
ぜぇぜぇと息切れをしながら私の肩を掴んで聞いてきた。
「まだ…手術中」
「え…」
お母さんの顔がみるみる青くなっていく。