Black Queen【1】
「…母さん?」
すると、不安そうな悲しそうな苛立った声が私の後ろから聞こえた。
「寿二…?」
その声の正体は寿二。
私が後ろを振り向くと、寿二はお母さんを睨み付けている。
「帰れよ」
「寿二…」
「さっさと帰れや!!」
「…。」
寿二の怒鳴り声が病院に響いた。
「ちょ!?寿二?」
さすがに私もあせった。
「るっせぇ…姉貴は黙っとけ」
「…っ」
寿二の私をみる目は、あまりにも冷たい目で黙るしかなかった。
「なんできたんだよ!?はやく帰れ!お前なんて消えろ!!」
バキっ
寿二がそう言った瞬間突然奏が近づいて殴り飛ばした。
「いってぇ…」
「消えろとか言うな!!」
「…。」
珍しく奏が本気で怒っていた。
「消えろとか言うんじゃねぇ…」
怒ったかと思えば、今度は悲しそうな瞳で寿二を見つめる。
寿二は殴られた頬を抑え
「てめぇになにがわかんだよ!!」と怒鳴って病院から出ていった。
「寿二!!」と呼び止めるが寿二は止まることなく、どこかに行ってしまった。
「……いるわよ」
「え?」
お母さんが顔を附せて突然喋り出した。
「私は鉄二の無事が分かるまで此処にいる」
力強いお母さんの言葉に「…。」私は黙った。