Black Queen【1】
みんなで騒いでいると
コンコンと扉のノックの音がした。
全員扉の方に視線を向ける。
「入れ」
私が低い声でそう言うと
「失礼します。」
返事がかえってきて扉が開いた。
そこにいたのはー…
「斗真(トウマ)!?」
黒龍の副総長『大月 斗真(オオツキ トウマ)』だった。
「久しぶりですね。加那さん」
そう言って斗真はニコッと笑った。
いかにも嘘くさそうな笑顔で。
まるで、周りには本当の笑顔を見せないみたいに。
「久しぶり」
「加那さん今日は用があって此処に来たんです。」
「なんの用だ?」
「今回の百鬼凰の件でお願いがあるんです。」
「お願い?」
斗真がお願いなんて言うから驚いた。
何かあったのだろうか。
「はい。普通総長が殺られちゃあ…引き下がるしかないかもしれませんが…あいにく黒龍のみんなが黙ってなくて」
まぁ…黒龍のみんなは鉄二の事慕っていたからな。
「…。」
「俺にしても…鉄二を殺った奴の顔をせめて見てみたいですしね。てっきり鉄二を倒せるのは加那さんだけしかいないと思っていましたから。」
どんなんだよ!
私しか鉄二を倒せないって!
まぁ…実際そうかもしれないけど…。
「…。」
「…だからお願いします!総長がいない族が言うのもあれですけど俺達を今回の百鬼凰との喧嘩に入れて下さい」
そう言って斗真は頭を下げた。
鉄二と斗真
いつ出会ったのか、どんなふうに知り合ったのか私は知らないけど…
この二人には固い絆があるんだろうな。
「断ったら?」
私がそう言うと
「お願いします!」
斗真は更に低く頭を下げた。
「ふっ、奏情報によるとあっちはかなりの大人数みたいだし、こちらこそ頼むよ。黒龍が加わったら助かる」
「加那さん…」
「よろしくな!」
「はい!」
斗真は私ににっこり笑ってきた。
斗真のそんな顔今まで見たことなかったからびっくりした。
本当の笑顔を見れた気がした。
鉄二…
いい仲間もったな。