One Off Time .
放課後のチャイムが学校中に鳴り響く
その音と同時に私たち3人は席を立つ
私たちの家は学校から電車で一駅行って
歩いて2、3分のところにある
着いたらまずはそれぞれの家に入り
荷物を置いてから誰かの家に集まる
今日は未也の家に集まることになってる
私は部屋に入り荷物を置きながら
色々と考えていた
私が奇跡や運命を信じない理由を
私たち3人はそれぞれ隠したい過去がある
未也は極度の男嫌い
真司は友達を信じれない
私は・・・
親を憎み恨んでいる
私の母は風俗で働いている
だから最近は家にいないことが多い
・・・私にとっては気が楽でいいけど
父親は私と母を置いてどっかに行った
私が6歳の頃だったから
顔なんて全然覚えてない
今住んでいる家には
母は月1でしか帰ってこない
性格は普通に優しいけど
お酒が入ると人が変わってしまう
小さい頃から家にいないから
母親としては見れない
帰ってくることは少ないけど
あの人の家にいると考えたくないから
寝る時以外は家にいない
幼少期はすごく悲しくて
毎日毎日、母の帰りを寝ないで
待っていたこともあった
だけど小学3年生になる頃には
それが当たり前になっていた
『今日は9時に帰るわね』
その言葉を信じて待ったけど
帰ってきたのは翌日の朝
『誕生日パーティーをしよう』
そう言って仕事に行ったきり
1週間帰ってこない時もあった
父親だって
『いい子にして待っていたら
おもちゃを買ってあげるよ』
そう言って会社に行って
帰ってこなくなってしまった
だから私は
なにもかも信じれない
運命も赤い糸も信じない
ただ信じれるのは
未也と真司とその家族のこと
未也のお母さんは
私の母の妹だ
それなのに性格は真っ反対で
曲がったことが嫌い
家族をとても大事にしてて
私のことも実の娘のように
接してくれている