ー紫神(シガミ)ー

 少年が何も言わないで居れば、“道化師”の名を持つ彼は勝手に口を開く。

 【絶対】の存在を無視して。

 命令を受けないまま、話し出す。

 「知っちゃったんだよ。【絶対】の存在であるボスの気持ち」

 道化師は嬉しそうに笑った。

 こんな顔は暫く少年も見ていない。

 知っているのは、自分に命じられるまま『悲劇』の役者になり“道化”(ウソ)を演じる時の顔ばかり。

 知っているようで、何も知らない。

 それはお互い様だった。

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