ー紫神(シガミ)ー
女は漆黒に染まった丸い机の上に紫色の封筒を乗せた。
「帰ったんだ。おかえり、司(ツカサ)」
玄関となる扉の正面には別室に繋がる小さな階段がある。
階段を降りてきた少年は、司と呼んだ女に微笑んだ。
「ただ今帰りました」
女は目上の者にするように、深く頭を下げた。
「今回は随分…面白い依頼だね」
少年は頭を下げたままの司を見ることなく、机の上に置かれた手紙を開いた。
そして面白いと言って置きながら、ビリビリに破り捨てる。