思い出はあなたの中に
それは…どういう意味だ!?

返答に困っていると伺うように小首を傾げながらヒトミが尋ねた。

「ダメ?」

「いや、だめって言うか…」

大学に入ってからオレは一人暮らしを始めた。

それはもちろんヒトミも知っている。

一人暮らしの男の家に来たいって言うことは、それはつまり…

「ダメならいいや。どっかファミレスでも行く?」

「いや。オレんちでいい…!…よ」

「なんか変なこと考えてる?」

「えっ」

もちろん考えている。

「ふふ。ま、いいや行こ?」

ヒトミはオレの手をとり歩いた。

女にリードされるオレって…

少し情けなくなりながらもオレはヒトミの手を握り返した。

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