思い出はあなたの中に
「今日楽しかった。ありがとう。」

「ああ。オレも。」

少しの間沈黙があった。ヒトミも離れがたいと思ってくれているのだろうか。

「じゃあ行くね」

そう言って後ろを向いたヒトミが、ふいに振り返った。

どうしたのかと思っていると、唇に暖かいものが触れた。

「続きはまた今度ね」

にっこり微笑んだヒトミは、そのまま軽やかに、またねと手を振って去って行った。

唇に触れた温かみを確かめるように、オレは自分の唇を何度も触った。
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