思い出はあなたの中に
動揺を悟られないよう、カツ丼を黙々と食べながらオレは答えた。

「その様子だとまだだな。意外と奥手だなー藤沢。」

変なところで勘が鋭いな、こいつ。

「うっせーな。彼女のいない奴に言われたくねーよ。」

言われたマコトはガクッと肩を落とした。

「くそームカつくぜ彼女持ちめ!今度会わせろよ!」

「やだね」

会わせろ。嫌だ。の押し問答を繰り返していると、横から声がかかった。

「藤沢くーん!マコトくーん!やっほぅ。」

「おう。ナギサじゃねぇか。」

「この間はお疲れ様。ここ座っていい?」

「いいよいいよ。どうぞナギサちゃん」

明るい茶髪にデニムのミニスカートを履いた、いかにもギャル風の女、ナギサも元同じ中
学の友人である。

もちろん同窓会にも参加していた。

女と見るとすぐ鼻の下を伸ばすマコトはナギサが座れるよう椅子をひいた。

「次さ、経済史とってる?課題、今日提出だよね?」

「まじ?今日だったか?」


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