思い出はあなたの中に
「ナギサさんまだ見つからないの?」
「ああ」
ナギサが行方不明となって2週間が過ぎた。
その間連絡も一切付かず、周囲もだんだんと事件性を疑っていた。
久々にヒトミに会えたというのにオレは浮かない気分だった。
「心配だね。何があったんだろう…」
「…」
分からない。
「まああいつのことだ。そのうちひょこっと帰ってくんのかも知んないし。」
オレは努めて明るい声で言った。
これ以上ヒトミに心配かけるわけにはいかない。
「うん。そうだね。」
オレの気持ちを察したのかヒトミもそれ以上ナギサのことは話題にしなかった。